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ウレシカは絵本や雑貨や陶器を扱っていることもあって、なんの店ですか、とよく聞かれた。僕はその都度に面倒くさくなって、雑貨屋です、と投げ槍に答えていたのだけど、この4年間、カマタが一番力をいれていたのは、間違いなくギャラリーとしてのウレシカだ。

オープン以来、2、3週間に一度の周期で絵を中心に展示を続け、振り返れば、開催した展示は63回になっていて、参加してくれた作家さんの延べ人数も150人以上。ワークショップやトークショー、イベントなどは20回以上も開催した。
積み上がった数字は、作家さんとカマタの情熱、頑張りの証のようで誇らしく思うけれど、実際展示を続けていくのは大変だ。
作家さんに声をかけ、声をかけられ、日程とテーマを決めて、DMを作り、告知をする。作品の搬入と搬出の手間も結構ある。展示期間中は期間中で、人が来なければどうしようと集客の不安に怯え、作品販売の心配も常に横たわっている。

儲かったと思ったことは一度たりともないし、作家さんに満足いくリターンを渡せたのかはわからない。それでも、楽しくなかった回は一度たりともなかった。僕のような人生一発当てて逃げ切ろうなんて思っているヤツでも、作品の熱や手間や技術や希望は伝わるもので、その作品群の中に身を置いているだけで、なんとも幸せな気分になった。経堂のこんな小さな店で展示していただいた作家さん達には、ありがとうございます、しかない。

お客さんにも頭が上がらない。遠方から来る作家ファンの人や定期的に来てくれる近所の方々。必ず友達を連れてきてくれるネット時代からの女性、買うもんないから、と毎回つまみや酒を持ってきてくれる千葉のおっさん、アマゾンで買えばいいのにわざわざウレシカで取り置きをしてくれる親子、毎年体調がいい春先だけ電車に乗ってやってくる病気の女性。子供の通院のために3か月に一回寄ってくれるママさん。口悪いけど、なんだかんだ買ってくれるばあさん。支えてくれたお客さんを挙げれば本当にキリがない。

こんなにたくさんの人から厚意をいただいたら、店をやってよかったと認めざるを得ない。店は、経堂でなければ始められなかったし、経堂でなければ続かなかった。経堂でなければ、人類みな兄弟的な接客を寛容してくれなかった。

この4年間、経堂ウレシカに携わってくれた人、来てくれた人全てに感謝しますなんて一番気持ち悪い言葉しか頭に浮かばないのだけど、本当にそう思ってる。

2014年1月11日 08:39 | |